カウンターに立っていた頃、「彼女に贈りたいんです」とはっきりおっしゃるお客様には、共通していたことがあります。皆さん、本当に真剣に悩んでいらっしゃいました。
誰かの好みを想像しながら、自分では使わないものを選ぶ。決して簡単なことではありません。それでも時間をかけて選ぼうとされる姿に、私はいつも誠実さを感じていました。
この記事では、元シャネル・ディオールのBAとして、彼女へのギフトに実際に勧めていたものを正直にお話しします。相談が集中する時期、いちばん多かった予算、そして——あまり語られませんが、いちばん確実な方法についても。
- 相談が集中するのは、誕生日とクリスマス
- 売り場でいちばん多かった予算帯
- BAとして自信を持って勧めていた具体的な商品
- 彼女へのギフトに勧めなかったカテゴリーと、その理由
- 実は、いちばん確実な選び方
💡 この記事は「彼女へ贈る」場面に特化しています。そもそもの選び方の基準を知りたい方は 男性のデパコスギフト選び|失敗例と外さない基準、予算から幅広く探したい方は プレゼントコスメおすすめ|予算別 をご覧ください。
相談が集中するのは、誕生日とクリスマス
男性のお客様から「彼女に」というご相談をいただく場面は、圧倒的に2つに集中していました。誕生日とクリスマスです。
ただ、この2つは売り場の状況がまったく違います。誕生日は一年中に散らばりますが、クリスマスは全員が同じ数週間に集中するからです。同じ「彼女へのギフト」でも、動き方を変える必要があります。
誕生日は、落ち着いて選べます。売り場が特別に混み合う時期でなければ、BAとじっくり相談する時間が取れます。試させてもらったり、迷っているところを見てもらったりできるので、相談の質そのものが上がります。
クリスマスは別格です。限定品の予約が集中し、ラッピングを待つ列ができます。当日ふらりと立ち寄って、じっくり相談して、包んでもらって帰る——という進め方は、この時期には現実的ではありません。秋のうちに動いておくかどうかで、当日の余裕がまったく変わります。
いちばん多かった予算は、3,000〜5,000円
「いくらくらいのものを贈ればいいですか」。これもよくいただく質問でした。
実感としていちばん多かったのは、3,000円から5,000円の価格帯です。特に若い方は、このあたりが中心でした。
正直にお伝えすると、高ければ喜ばれる、というものではありません。むしろこの価格帯には、デパートコスメの入口として優秀なアイテムが揃っています。相手が気兼ねなく普段使いできる価格のほうが、結果的に長く使ってもらえることも多いのです。
もちろん、記念日や節目であれば予算を上げる選択もあります。ただ「相場より高くしなければ」と気負う必要はまったくない、というのが売り場にいた人間の実感です。
BAとして、自信を持って勧めていたもの
では、具体的に何を勧めていたのか。私が「彼女へのギフトなら」とご案内していたのは、次のようなものでした。
- CHANEL:ヘアミスト、ミラー、ブラシ
- DIOR:リップ マキシマイザー、ミス ディオール ブルーミング ブーケ
※ブラシは「セット」で欲しくなる方が多いのですが、シャネルのブラシセットはホリデー限定として登場することが多く、通年では手に入りにくいのが実情です。狙うなら、後述するクリスマスの動き方が重要になります。
並べてみると、ある共通点が見えてきます。どれも「相手の肌質や好みの色を、細かく知らなくても選べる」ものだということです。
ヘアミストやミラー、ブラシは、肌にのせるものではありません。似合う・似合わないの問題が起きにくく、ブランドの世界観だけを渡せます。ミラーやブラシは長く手元に残るものでもあり、開けたときの特別感もあります。
そのなかで、予算3,000〜5,000円にちょうど収まり、なおかつ喜ばれやすかったのがこちらです。
もうひとつ、よくご案内していたのがミラーです。使い切ってなくなるものではないので、贈った日のことが長く残ります。ポーチに入れて毎日持ち歩けるサイズで、開けるたびにブランドのロゴが目に入る——という点でも、贈り物らしい一品です。
さらに予算を上げられるなら、ヘアミストもよくご案内していました。香水ほど香りが主張せず、髪から柔らかく香ります。「香水はハードルが高いけれど、香りのあるものを贈りたい」という方に、ちょうど間を埋めてくれる存在です。
逆に、勧めなかったもの
「これは少し慎重に」とお伝えしていたカテゴリーが、2つあります。
スキンケア
意外に思われるかもしれませんが、スキンケアは彼女へのギフトとしてはあまり勧めていませんでした。
理由は、肌との相性があるからです。合う合わないが分かれますし、すでに使っているものがある方も多い。スキンケアは途中で切り替えにくいカテゴリーなので、いただいても使うタイミングが難しいことがあります。
「これが欲しい」と本人から具体的に聞いている場合は別です。そうでないなら、避けたほうが安全だと思います。
香水(贈るなら、オードゥ トワレから)
香水も、慎重に選ぶべきカテゴリーです。香りは好みがはっきり分かれますし、つける人の肌によって印象も変わります。
それでも贈りたい場合、私がお伝えしていたのは「オードゥ トワレから検討してください」ということでした。
香水には濃度の違いがあり、パルファム、オードゥ パルファン、オードゥ トワレの順に香りが軽くなります。オードゥ トワレは香り立ちが穏やかで持続時間も控えめなので、好みが完全に一致していなくても使ってもらいやすいのです。いきなり濃度の高いものを贈ると、好みから外れたときの逃げ場がありません。
そのうえで、彼女へのギフトとしてよくご案内していたのがこちらです。
💡 香りの選び方をもう少し詳しく知りたい方は 初めての香水5選(レディース) に、香調ごとの違いをまとめています。
実は、いちばん確実な方法があります
ここまで選び方をお話ししてきましたが、最後に、売り場にいた人間としていちばんお伝えしたいことを書きます。
彼女と一緒に、カウンターに来てください。
お二人でご来店されたとき、私たちは彼女様との会話を優先してご案内していました。男性のお客様がそれを望まれていると分かっていたからです。
実際、一緒に来られる男性のほとんどが「本当に欲しいものを買ってあげたい」とおっしゃいました。だから私たちは、ご本人の「欲しい」を引き出すことに集中しました。普段どんな色を使っているか、気になっているけれど自分では買わないものは何か。そうした会話から、本当に喜ばれるものが見つかります。
「サプライズにならないから」と、この選択肢を外してしまう方は多いと思います。でも、一緒に選ぶのは妥協ではありません。相手の好みを当てにいくより確実で、しかも売り場での時間そのものが二人の記憶に残ります。
もちろん、驚かせたいというお気持ちも分かります。その場合は、この記事の前半でお伝えした基準——相手の肌質や好みの色を細かく知らなくても選べるもの——を手がかりにしてください。
よくある質問
彼女へのコスメプレゼント、予算はいくらくらいが多い?
売り場でいちばん多かったのは3,000〜5,000円です。特に若い方はこのあたりが中心でした。高ければ喜ばれるというものでもなく、普段使いできる価格のほうが長く使ってもらえます。
彼女にスキンケアを贈るのはどう?
あまりおすすめしていませんでした。肌との相性があり、すでに使っているものがある場合も多く、途中で切り替えにくいカテゴリーだからです。本人から具体的に聞いている場合を除けば、避けたほうが安全です。
香水を贈りたいのですが、選び方は?
贈るならオードゥ トワレから検討してください。パルファムやオードゥ パルファンより香りが軽く持続時間も控えめなので、好みが完全に一致していなくても使ってもらいやすくなります。
一緒に選びに行くのは、サプライズにならないので避けるべき?
避ける必要はありません。売り場では、お二人でご来店されたときこそ彼女様との会話を優先してご案内していました。ご本人が本当に欲しいものを引き出せるからです。一緒に選ぶのは妥協ではなく、最も確実な方法のひとつです。
まとめ
彼女へのコスメギフトで覚えておいていただきたいのは、3つだけです。
ひとつめ、予算は3,000〜5,000円で十分だということ。無理に相場を上げる必要はありません。ふたつめ、スキンケアと濃度の高い香水は慎重に。肌や好みに左右されるカテゴリーは、確信がないなら避けてください。
そしてみっつめ。迷ったら、一緒に行ってください。売り場は、彼女の「欲しい」を引き出すためにあります。私たちBAは、そのお手伝いをずっとしてきました。
「彼女に贈りたい」と真剣に悩まれる方を、私は売り場でたくさん見てきました。その時間そのものが、すでに贈り物なのだと思います。
