「プレゼントに、リップってどうでしょうか」——シャネルとディオールのカウンターに立っていた頃、季節を問わずよく受けた相談です。そしてもう一つ多かったのが、「自分への、初めての1本を選びたいんです」という声。どちらも、贈る相手や自分自身への気持ちがこもった、特別な1本選びだと感じていました。
今回比較するのは、イヴ・サンローランのYSL ラブシャイン リップスティックと、ディオールの看板リップルージュ ディオール。系統は近いようで、実は性格がまったく違う2本です。元BAとして、スペックの違いだけでなく「プレゼント選びと自分用選びで、実際どちらをおすすめしていたか」までお話しします。
- YSL ラブシャインとルージュ ディオールの違い(価格・色数・質感・処方)
- 元BAが売り場で実践していた「似合う色」の見つけ方
- プレゼント向き・自分用の最初の1本向き、それぞれの考え方
- 唇の乾燥が気になる方に向いているのはどちらか
先に結論:「選び抜きたい人」と「委ねたい人」で分かれます
スペック比較の前に、売り場感覚での結論からお伝えします。
YSL ラブシャイン リップスティックは、ジェリーのような透明感と、唇に乗せた瞬間とろけるジューシーなツヤが続く「水ツヤ」仕上げ。YSLウリカ コミュニティ ガーデン産のパッションフルーツオイルとイチジク果実エキスを配合したオイルイン処方で、1日中ふっくらとした潤いが続きます。全26色(2026年8月時点)。「唇の乾燥が気になる」「ナチュラルなツヤ感で、飾りすぎない1本がほしい」人のリップだと私は思います。
ルージュ ディオールは、サテンとベルベット(マット)の2質感・全32色(限定6色含む)という選択肢の広さが最大の魅力。マグネット式キャップで中身だけ交換できるリフィル対応(2本目からは4,950円)も強みです。「質感も色も、自分でしっかり選び抜きたい」「贈る相手の好みが分からないから、選択肢の広い方にしたい」人のリップです。
スペック比較表
| YSL ラブシャイン リップスティック | ルージュ ディオール(ディオール) | |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 6,050円 | 6,270円(リフィルは4,950円) |
| 色数 | 全26色 | 全32色(限定6色含む) |
| 質感 | 水ツヤ(ジェリーのような透明感のあるツヤ)1種 | サテン/ベルベット(マット)の2種 |
| 処方の特徴 | パッションフルーツオイル+イチジク果実エキスのオイルイン処方 | フローラルケア成分配合・24時間続く心地よさ(メーカー公表) |
| ケース | キャンディーのようなポップなカラーリング | カナージュ模様と「CD」リングのクチュール ケース |
| リフィル | なし | あり(4,950円) |
| 向いている人 | 唇の乾燥が気になる/自然なツヤ感が好き | 色・質感を選び抜きたい/贈り物で外したくない |
※価格・色数は2026年8月時点の情報です。最新情報は各ブランド公式サイトでご確認ください。
YSL ラブシャイン——唇のコンディションごと整える1本
YSLのカウンターで、ラブシャインをお試しいただいたお客様がまず驚かれるのは、塗った瞬間の「とろける」感触でした。スティックの先が体温でふわっと軟らかくなり、唇にすっとフィットする。色を乗せているというより、パッションフルーツオイルとイチジク果実エキスの美容液を塗っているような感覚に近いんです。
正直にお伝えすると、水ツヤ仕上げは発色そのものよりも「透明感」を主役にした処方なので、ディオールのベルベットのようなくっきりとしたマット発色を求める方には物足りなく感じられることがあります。また食事の際は、ツヤ系リップ全般と同じく落ちやすい傾向があるので、こまめな塗り直しが前提になります。
YSL ラブシャインが合う人
唇の乾燥や縦じわが気になる方、リップメイクは「盛る」より「整える」感覚が好きな方に向いています。イチジク色や、コーラルなど肌なじみのいい色から選ぶと、ナチュラルメイクの日にも浮きません。
ルージュ ディオール——迷う人にこそ、選択肢という優しさ
ディオールの売り場で感じていたのは、ルージュ ディオールの「間口の広さ」です。サテンとベルベットの2質感×32色という展開。つまり「似合う色も質感もわからない」というお客様にも、必ずどこかに着地点がある。選択肢の多さは、選ぶ側への優しさでもあります。
新しいクチュール ケースは、タイムレスなカナージュ模様と「CD」が輝くシルバーリングをまとったデザイン。マグネット式キャップで簡単に開閉でき、2本目からはリフィル(4,950円)でお得に続けられます。プレゼントとして箱を開けた瞬間の華やかさは、正直YSLより一歩リードしていると思います。
ルージュ ディオールが合う人
「今日はベルベットで強めに、明日はサテンで柔らかく」——気分やシーンで印象を作り分けたい方。また、贈る相手の好みが分からず「外したくない」というプレゼント選びにも、質感から選び直せるルージュ ディオールは心強い1本です。
元BAの「似合う色」の見つけ方——最後はあなたが選ぶ
ここからは、ブランドを問わず使える「似合う色」の見つけ方です。私がカウンターで実際にやっていた手順をそのままお伝えします。
手順1:4つのヒントを見る
私はお客様をお迎えしたら、まず肌の色・髪の色・瞳の色・その日のファッションの4つを見ていました。黄みがかった肌の方(イエベ)にはコーラルやオレンジ系が、青みがかった肌の方(ブルベ)にはローズやベリー系がなじみやすい。加えて、お召し物や雰囲気から「可愛い系がお好きか、かっこいい系がお好きか」も読み取ります。
手順2:プレゼントなら「質感」を先に決める
自分用なら好きな色から選んでいただいて構いませんが、プレゼントの場合は色より先に質感の好みを思い出してみてください。普段からツヤ感のあるリップグロスを好む方にはYSLの水ツヤが、はっきりした発色のマットリップを持っている方にはディオールのベルベットが喜ばれやすい傾向にあります。迷ったら、サテンという「中間の質感」を選べるディオールが無難です。
手順3:最後の1本は、自分で決める
そして最後。私は「私のおすすめはこちらですが」と一番のおすすめをお伝えした上で、決して私からは決めませんでした。最後の1本をご自分で選んでいただくと、その口紅は「買わされた色」ではなく「自分で選んだ色」になる。持ち帰ってからの満足感が、まるで違うんです。
この記事も同じ考え方で書いています。ここまでの比較を踏まえて、最後はあなたが選んでください。それがいちばん、長く愛せる1本になります。
よくある質問
自分に似合う色がわからないときは、どう選べばいい?
肌・髪・瞳の色と、普段よく着る服の色がヒントです。イエベならコーラルやオレンジ系、ブルベならローズやベリー系が調和しやすい傾向。最終的には店頭のタッチアップで顔まわりに当てて確認するのが確実です。
プレゼントに選ぶなら、YSLとディオールどちらがいい?
相手の好みの質感が分からない場合は、2質感・32色から選べるルージュ ディオールが外しにくい選択です。相手が普段からツヤ感のあるメイクを好むと分かっているなら、YSLのみずみずしい仕上がりも喜ばれます。
初めてのデパコスリップとして選ぶなら?
色選びに自信がない最初の1本には、質感を後から選び直せるルージュ ディオールをおすすめすることが多かったです。唇の乾燥が気になる方や、ナチュラルなツヤ感から始めたい方にはYSLのオイルイン処方が向いています。
タッチアップだけして買わなくても大丈夫?
大丈夫です。BAは「今日は試すだけ」のお客様に慣れていますし、じっくり選んでいただいた方が満足度が高いことを知っています。遠慮なく試してください。
まとめ
YSL ラブシャインは「唇のコンディションごと整える、水ツヤの1本」。ルージュ ディオールは「2質感・32色・リフィルという選択肢の広さで、贈る相手にも自分にも外さない1本」。どちらも売り場で自信を持っておすすめしてきたリップです。プレゼントか自分用か、質感の好みがはっきりしているかどうかで、答えは自然に決まります。
